>下水道用マンホールふた
維持管理マニュアル(案)

>マンホール蓋等の
取替に関する設計の手引(案)
>下水道用マンホールふたの計画的な維持管理と改築に関するマニュアル
>ふたの耐用年数、処分制限期間 >長寿命化支援制度における
マンホールふた取扱い
>マンホールふたの
交付金活用イメージ図(案)
>ストックマネジメント手法を
踏まえた下水道長寿命化計画策定
に関する手引き(案)
   
     
 
 
     
 

 財団法人下水道新技術推進機構、コンサルタント会社4社および当工業会を含むマンホールふた業界2団体の計7社にて、下水道マンホールふたの調査・診断・更新に関する共同研究を行い、その成果が本技術マニュアルとしてとりまとめられました。
 本技術マニュアルは、マンホールふたの予防保全的な維持管理のために、巡視、点検・調査から改築までの流れや、性能劣化および機能不足によるリスクを評価する手法、および点検や改築の優先順位の考え方を示し、地方公共団体における効率的なマンホールふたの維持管理計画、改築計画(長寿命化計画)の策定に資することを目的としています。

 

1.共同研究の成果
共同研究の成果や確認された主な事項は以下の通りです。

全国約12,000基のマンホールふたの調査データによると平均寿命は約35年と算出され、管路の半分程度であるため、ふた単独の管理計画が必要となることが確認されました。
今後の改築事業ボリュームが集中するリスクに対し、ワイブル分布による健全率曲線を用いることにより、改築量の平準化シナリオを策定できます。
マンホールふたの設置環境と経過年数からふた裏面の腐食やふた表面の摩耗によるリスク進行を予想できます。また、地域特性やリスク評価を踏まえた効率的な管理基準の設定ができます。
1993年の車両制限令の改正(車両総重量が20tから25tに引上げ)以降は、荷重仕様T-20のふたが大型車が多い道路に設置され続けた場合、破損、スリップ、がたつきなどの不具合発生のリスクが高まります。それ以降に設置されたふたは、本研究で調査した以上に性能劣化が速まる事が予測され、今後、引き続き管理・改築周期の見直しが必要となります。
 

2.マニュアルの内容

 マニュアルには、マンホールふたの維持管理作業手順(案)として、維持管理計画、日常維持管理、および改築計画などの内容が以下のように示されています。
 維持管理計画は、維持管理計画と改築計画に必要な情報の収集・整理、およびマンホールふたの性能劣化の程度を踏まえた上で、改築に必要な費用を中長期的に予測します。また、マンホールふたの巡視、点検・調査計画については、リスク評価の視点を踏まえた優先度検討結果などを考慮して策定します。
日常維持管理は、維持管理計画に基づき、巡視にてマンホールふた及びその周辺舗装の状態や、マンホールふたタイプなどの基本情報を把握します。
改築計画は、巡視結果を基に、計画的に点検・調査を行うマンホールふたを抽出し、点検・調査を実施します。その結果から、性能劣化の程度により健全度を評価し、改築の必要性と緊急性を診断します。診断の結果、改築が必要となったマンホールふたに対し、改築計画を策定します。


マンホールふたの維持管理作業手順(案)

 

 なお、巡視の判定基準は「マンホール蓋等の取替に関する設計の手引き(案)」を、点検・調査判定基準は「下水道用マンホールふたの維持管理マニュアル(案)」を参考に作成したことが掲載されています。

次に、マニュアルのポイントとして、以下のことが掲載されています。

(1)改築事業量の予測
①ふたの健全率曲線予測
 全国約12,000基のマンホールふたの調査データより、健全度別ワイブル分布による健全率曲線が作成されました。その結果、健全度1により、平均寿命約35年(全体)が算出されました。

平均寿命:
ある母集団に属するマンホールふたの約50%が性能劣化による不具合を起こしている状態(健全度1)に達する年数のことをいう。


健全度別のワイブル分布による健全率曲線(全体)

 

【解説】管路とマンホールふたの平均寿命の比較

管路 マンホールふた
72年※1 全体 34.6年
車道 33.8年※2
歩道 41.8年

※1 管路の平均寿命との比較について
 管路の平均寿命は、「下水道施設のストックマネジメント手法に関する手引き(案)」から引用。「効率的な汚水処理施設整備のための都道府県構想策定マニュアル(案) 国土交通省都市・地方整備局下水道部」に償却年数として記載されたものです。
 管路に比べマンホールふたの平均寿命はほぼ半分であり、地域特性や設置環境によっては、マンホールふた単独の維持管理が必要と言えます。

※2 マンホールふた車道部の平均寿命33.8年を下とした改築計画の場合、既に半数が不安全な状態であり改築タイミングを逸した事となります。
 予防保全としては、平成15年に「下水道施設の改築について」の[別表]標準的耐用年数に設定された耐用年数の車道部15年で点検・調査を行うことが求められ、後述の管理基準設定(例)においても設定されています。

 

②健全度の低下したふたのみを改築するシナリオ
 健全度1のワイブル分布で将来の改築に達する時期を推定し、健全度1に達したふたから随時改築していくものとすることにより、過年度の施工実績に対し、改築必要量を平準化することができます。


マンホールふたの設置実績と改築必要量の推定

 

(2)優先度の設定
 マンホールふたの維持管理実施優先度の設定は、リスクマトリクスの手法を用います。リスクマトリクス例を作成するために、設置環境別にふた裏面の腐食によるリブ肉厚の減量やふた表面の摩耗量などの劣化度合いを約1,400箇所で現地調査しました。
 その結果分析により、マンホールふた不具合の発生確率(不具合の起こりやすさ)に対する設置環境別の経過年数が設定され、不具合による被害規模(事故による被害の大きさ)との組合せでリスクの高さをマトリクスにより評価することとしています。
下図に破損防止性能の優先度設定例を示します。

破損防止性能に関する優先度設定例

※腐食環境下にないふたは、破損防止性能に影響を及ぼす腐食状態が確認されていないため、優先度設定の対象外。

 

(3)管理基準の設定
 マンホールふたの巡視ならびに点検・調査計画の策定にあたっては、事業体の地域特性やリスク評価の視点に基づく優先度評価結果を踏まえた上で、維持管理上の施設分類別(「点的」、「線的」、「面的」)に管理基準を設定する必要があります。
 点的に捉えるマンホールふたの管理基準(例)は、「下水道維持管理指針・前編-2003年版-」(社団法人 日本下水道協会)に記載されている巡視・点検の周期の例を参考に設定されています。
 線的、面的に捉えるマンホールふたの管理基準(例)は、全国約12,000箇所の調査データを用いたワイブル分布による健全率曲線を基に設定されました。
 線的は、車道に設置された健全度3以上のマンホールふたを50%(健全率50%)改築する際の平均寿命の1/2を点検・調査の管理基準(例)、面的は、設置環境別に健全度2以上のマンホールふたを50%(健全率50%)改築する際の平均寿命の1/2を点検・調査の管理基準(例)として設定されました。また、巡視の管理基準(例)は、線的、面的とも点検・調査の半分で設定されています。

管理基準設定(例)

マンホールふたの管理基準を基に、中長期の巡視ならび点検・調査計画を立案することができます。下表に点検・調査計画策定のイメージを示します。

マンホールふたの点検・調査計画のイメージ

 

(参考)車両制限令の変化に伴った劣化環境の変化

 本研究での現地調査結果から、1993年の車両制限令の改訂において、最大車両荷重がT-20からT-25への変化に伴い、1994年以降に設置されたマンホールふたは、表面模様の摩耗速度が大きくなる傾向などが確認されました。マンホールふたの維持管理において、スリップ、破損、がたつきなどのリスクを検討する際には、道路環境が過去に比べて過酷化しているため、本研究での現地調査をもとにした劣化状況よりも、今後性能劣化傾向が早まる可能性を踏まえることが提言されています。

 

道路環境の比較を行ったふたのサンプルイメージ

[路線A及び路線Bのふた表面摩耗速度の現地調査結果]