ふたの種類(T-25,T-14)の使用区分及び設計根拠
1.ふたの種類(T-25,T-14)の使用区分
ふたの種類の使用区分については表-1のように下水道協会規格(JSWAS G-4)に示されています。また、日本グラウンドマンホール工業会ではこれをさらに車道幅員との関係で示し、推奨したものが表-2の使用区分です。車道幅員5.5m未満の道路は車線区分の無い道路として、大型車のすれ違い走行が困難であり、したがって大型車の走行頻度が少ない道路としました。
表-1 下水道協会規格・主な使用場所
種 類 | 主な使用場所(参考) |
T-25 | 道路一般 |
T-14 | 歩道又は大型車の通行の少ない道路 |
※『JSWAS G-4 下水道用鋳鉄製マンホールふた』 より
表-2 日本グラウンドマンホール工業会使用区分(案)
種 類 | 使 用 区 分 |
T-25 | 車道幅員を5.5m以上の道路を適用対象とする。但し、車道幅員が5.5m未満であっても、一方通行道路等で、大型車輌の通行があり交通量の多い道路と拡幅計画道路はT-25とする。 |
T-14 | 車道幅員5.5m未満の道路及び歩道とする。 |
2.ふたの種類(T-25,T-14)の設計根拠(φ600の場合)
T-25,T-14の設計根拠は表-3のとおりです。
表-3 設計根拠
T-25 | T-14 | |
(A)車両総重量(トン) | 25 | 14 |
(B)輪荷重(kN):活荷重 | 100 | 55 |
(C)衝撃係数 | 1.4 | 1.4 |
(D)撓み、残留撓み試験荷重(kN) | 210 | 120 |
(E)撓み(mm以下) | 2.2 | 2.2 |
(F)残留撓み(mm以下) | 0.1 | 0.1 |
(G)破壊(kN以上) | 700 | 400 |
これらはふたを道路に架けられた構造物として道路橋示方書に準拠した輪荷重、衝撃係数、撓みを設計根拠としており、具体的には下記のとおりです。
- 輪荷重は道路橋示方書でT-25の場合100kN(後輪片側40%)と
規定されています。
又T-14については旧版の道路橋示方書で5.6トンと規定、
換算して55kNとなります。 - 衝撃係数は同じく道路橋示方書で(1/(50+L):Lはメートル)と規定されています。
したがってふたの直径を0.6mとして(20/(50+0.6) ≒0.4)となります。 - 撓みは道路橋示方書で活荷重に対し(その他の形式L/600)と規定されています。
したがって試験荷重210kN,120kNに対しては
(2.205・・・・≒2.2)となります。
(∵試験荷重は活荷重を1.4×1.5倍しています。) - 残留撓みは弾性破壊が生じない、すなわち変形が残らないことを保証する意味で
ゼロとするべきですが、測定上の問題もあり0.1mmとしています。 - 破壊は塑性破壊であり、(B)輪荷重×(C)1.4×安全率5としています。
塑性域は計算では求め難く、したがってこれは設計値ではなく、むしろ結果と言うべきですが、
ひとつの限界性能として過去からユーザーの要望が強いものです。
(E)撓み、(F)残留撓みは使用時限界性能、(G)破壊は終局時限界性能ともいえます。
3.ふたの使用区分と設計根拠の関係
使用区分でいうT-25「道路一般」、T-14「歩道又大型車の通行が少ない道路」はと言うときの大型車とはT-25(T-20も含む)を指しますが、T-14のふたに大型車(T-25)が載っても問題がないか疑問が生ずることになります。このことについての説明は下記のとおりです。
(大型車のT-14マンホールへの載荷について)
ふたの設計根拠として道路橋示方書により、輪荷重を100kN(T-25)、55kN(T-14)としていますが、実際の車両では道路運送車両法、車両制限令によって軸重10トン、1輪5トンを超えてはならないとされています。輪荷重5トンを49kNと換算してT-14設計との比率を見ると、輪荷重比は55kN/49kN=1.12となり、この比率はT-25車両に対してもわずかではあるが余裕を有していることになります。しかし、余裕率は十分でなく、大型車が頻繁に走行する道路では早期に寿命を来たすことが懸念されます。その意味でT-14の使用区分を「大型車の通行の少ない道路」としています。
なお、表-4に道路橋示方書と車両制限令による場合のT-25、T-14それぞれのふたにT-25車両が通過する場合の性能ごとの余裕(安全率)を示します。
表-4 ふたの種類(T-25,T-14)ごとの余裕率
![]() |
T-25 | T-14 | ||
道路橋示方書 | 車両制限令 | 道路橋示方書 | 車両制限令 | |
輪荷重(kN) | 100 | 49 | 100 | 49 |
撓みの安全率 | 1 | 2 | 0.55 | 1.12 |
残留撓みの安全率 | 1.5 | 3 | 0.825 | 1.68 |
破壊荷重の安全率 | 5 | 10 | 2.75 | 5.6 |