ものづくり

Manufacturing

グラウンドマンホールのものづくり

近年では多様なステークホルダーから環境への対応が求められており、今後さらに重要になってくることが想定されます。
グラウンドマンホールのものづくりは、その材質である「鋳鉄」や、グラウンドマンホール自体の「軽量化」、製造法や構造における「技術の進化」によって環境負荷の低減に貢献してきました。以下に詳細を解説します。

環境にやさしい「鋳鉄」

グラウンドマンホールは鋳鉄で出来ており、主な原材料としては、鉄スクラップや戻り材(製品以外の部位)といった、いわゆる「リサイクル材」を主に使用しています。また、鋳型材料においても再利用が可能であり、鋳鉄鋳物は循環性に富み、環境負荷の小さい製品と言えます。

材質の進化:FC(ねずみ鋳鉄)からFCD(ダクタイル鋳鉄)へ

1997年のJSWAS G-4の制定で、グラウンドマンホールの材質はねずみ鋳鉄(FC)から、より高強度で軽量化が可能な球状黒鉛鋳鉄(FCD)に変わりました。
FC(ねずみ鋳鉄)と球状黒鉛鋳鉄FCD(ダクタイル鋳鉄)を比較すると、FC(ねずみ鋳鉄)に含まれる黒鉛は線(片)状の組織であり、力が加わると線(片)状を通じて力が組織内を伝わり、割れやすい性質を持っているのに対し、ダクタイル鋳鉄は組織中の黒鉛を球状に独立させることで、外力が組織内に伝わりにくくしているため、引張り強さ・伸びなどに優れ、普通鋳鉄よりも数倍の強度を持ち、粘強さ(靭性)に優れた材質となりました。
このように強度を持たせる事で、グラウンドマンホールの軽量化が可能になりました。

製造の特徴(複雑形状の一体成型)

FC(ねずみ鋳鉄)から球場黒鉛鋳鉄FCD(ダクタイル鋳鉄)への材質の進化により、グラウンドマンホールはより高強度化で軽量化されましたが、製造方法にも特徴があります。
グラウンドマンホールは製品と同じ形状の空隙を有する鋳型(砂型)に溶けた金属を流し込む製法で作られ、複雑形状品を一体で製造することができます。
路上からの自動車荷重を支えるため、蓋の構造は分厚い平受構造から蓋裏にリブを配置した構造になりました。このリブ構造は、鋳鉄ならではの複雑形状品の一体成型により実現しており、溶接や組み立てが必要無いモノづくりが可能です。

構造の進化

上述した「製造の特徴(複雑形状の一体成型)」から、新たな構造設計が可能になりました。
右図のように、路上からの自動車荷重を支えるための蓋の構造も、分厚い平板構造から蓋裏にリブを配置した構造にすることで、従来のグラウンドマンホールと比べ約半分の重量(160㎏→80㎏)になり、蓋の厚みも薄くなりました。
この軽量化により、製造時のエネルギー消費量が大きく低減されたことに加えて、グラウンドマンホールが設置される現場までの輸送エネルギーの低減にも貢献しています。

鋳物のものづくりと環境負荷低減

上述のように、グラウンドマンホールのものづくりには材質的、構造的な進化がありました。また、その進化の過程で「軽量化」が実現されたことにより、製造後の配送などのエネルギーも低減することが可能になりました。

<まとめ>
・環境にやさしいリサイクル可能な「鋳鉄」を使用している
・強度の強いダクタイル鋳鉄を開発
・一体成型の特徴により、組み立てや溶接レスな製造が可能
・軽量化により、配送のエネルギーも低減。

 

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