コストダウン

cost down

グラウンドマンホールの荷重区分

グラウンドマンホールは設置される環境(車道や歩道)によって受ける荷重が異なります。
1997年に制定されたJSWAS G-4では以下の荷重に耐えられるグラウンドマンホールの耐荷重強度が設定されました。

グラウンドマンホールの耐荷重

・重車両通行の多い車道に設置するグラウンドマンホール・・・ 25トン
・重車両の通行がない場所に設置するグラウンドマンホール・・・14トン

荷重区分使い分けのきっかけ

荷重区分の規定を行うきっかけになったのは、1993年(平成5年)の「道路構造令」「車両制限」の改正です。
この年の道路構造令改正では「歩道等の幅員の変更」「歩行者滞留スペースに関する規定の新設」「橋、高架、道路等の設計自動車荷重の引き上げ」が行われ、この「橋、高架、道路等の設計自動車荷重の引き上げ」により、従来20tで規定されていた耐荷重の設計が25tに引き上げとなりました。
また、道路構造令の改定に合わせて、1994年(平成6年)に道路橋示方書も改正されました。道路橋示方書では従来1等橋(T-20)と2等橋(T-14)と規定されていましたが、改正されることで、T-25 へ一本化されました。
グラウンドマンホールの構造は道路構造令、道路橋示方書における設計基準を参考にしており、この法改正を機にグラウンドマンホールの耐荷重設計も見直しを行いました。
しかし、グラウンドマンホールは歩道部や生活道路にも設置されることから、道路構造令、道路橋示方書に従ってすべてのグラウンドマンホールをT-25対応へ一本化することは、事業体様はじめ関係者へ大きなコスト負担が発生すると想定されました。
そこで当会は国土交通省、全国の下水道事業者、日本下水道協会に対して「車道幅員5.5m」未満の車道については耐荷重T-25の使用ではなく、従来通りT-14の使用が望ましい」と使い分けの提案活動をおこない、新たにT-25 への一本化を行わず、T-14と使い分けをすることになりました。

全ての蓋がT-25になっていたら?(使い分けによる経済的メリット)

仮に平成時代に設置されたおよそ1,000万基のグラウンドマンホールがすべてT-25に仕様変更された場合の費用と、T-14と使いわけて設置した実績との費用を比較します。 

※(一社)日本グラウンドマンホール工業会調べ

上記から、平成時代にグラウンドマンホールのの耐荷重区分の使い分けが行われたことで、約360億円のコストメリットが発生しました。 およそ5%のコスト削減に貢献しているといえます。

(補足)耐荷重の算出に関する考え方

蓋の荷重強さの基準はJIS A 5506に準じて荷重たわみ試験を規定し、さらに安全性を確認するため、耐荷重試験を行い、破壊荷重の規定をしています。詳しくは【マンホール蓋の規格・性能≫下水道協会規格 JSWAS G4】で解説しています。

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