公共事業と工業会活動

社会の変化と、公共事業

日本では戦後の復興期間を経て1960年代を迎える中、東京を中心とした人口の急増、健全で衛生的な生活環境の向上、都市の大型化、モータリゼーションの進展により様々なインフラ整備が喫緊の課題となりました。

公共事業と、下水道事業の予算

インフラ整備の課題にあわせて、公共事業にあてられる国の予算は増加を続け、平成5年のピーク時には総額約15兆円にも上る予算でインフラの整備事業は活発化してきました。その中でも下水道事業は大きな割合を占めており、平成3年には公共事業のうち、35%を下水道予算が占めるなど、平成時代は劇的に下水道の整備が進んでいたことが分かります。
また、下水道予算も平成初頭から増加を続け、平成10年には4兆8千億円に上る予算となりました。(以下、昭和後期~平成初頭までの下水道予算と普及率の推移)

このように、平成の初頭に日本のインフラ整備は建設のピークを迎え、各資器材を供給するメーカーには安定した品質と、供給体制が求められたのです。

どのくらいマンホール蓋が設置されたのか。

激的に下水道整備の進んだ平成に、マンホール蓋は、どのくらいの量が設置されたのでしょうか?‥‥
なんとその総数は平成元年から31年にかけて、約1,000万基に上ります。
マンホールの蓋の重量を90㎏とした場合、その総重量は東京スカイツリー(約3.6万トン)25基分に相当する量になります。

日本グラウンドマンホール工業会の設立

1991年(平成3年)6月に、日本グラウンドマンホール工業会は全国30社により設立されました。(当時は一般社団法人ではなく任意団体)
下水道の新しい時代を考え、工業会ではマンホール鉄蓋に「グラウンドマンホール」という新しい名称を付けました。

設立当時の背景

・全国で同じ規格、高い品質と安全性を持つマンホール蓋の性能が求められた。
・増大する建設需要にこたえられる供給体制が求められた。
・交通量の増加や車両の大型化など、過酷な道路環境への製品の対応が求められた。

設立当時の目的

・全国のマンホール製造メーカーが高い品質のマンホール蓋を提供したい。
・グラウンドマンホールの設計基準を統一し、高品質で安全性の高い道路環境造りに貢献作りに貢献したい。
・情報交換、技術共有により会員社全体の技術革新につなげたい

工業会が果たしてきた役割・活動

マンホール蓋の規格・ガイドライン・マニュアル化への活動。

当会では、マンホール蓋を取り巻く環境変化(車両の増加、集中豪雨の増加、ストックの増加と老朽化など)に応じて、マンホール蓋の材質・構造・機能に関する開発を進めるとともに、製品規格(JIS規格、下水道協会規格)や手引き・マニュアル等の制定・改正に取り組んできました。

当会設立以降では、当会がまとめたマンホール蓋の製品規格を原案として、1997年に日本下水道協会規格JSWAS G-4 下水道用マンホール蓋が制定されました。
その後、豪雨で蓋が外れたマンホールに人が転落するという不幸な事故があり、2005年、2009年に内圧安全性を含めた規格に改正されました。2018年には、JIS規格についても、これらの内圧安全性を加味した内容に改訂されています。

提案、研修活動

当会では平成に各都道府県や下水道関係団体の協力をいただき、全国の下水道関係職員に研修を行ってきました。
研修会では老朽化したマンホールの維持管理の必要性や更新計画の立案方法などについて提案を行っています。

下水道のプレゼンスを高める「見える下水道」としての広報活動

グラウンドマンホールは地上で機能する唯一の下水道管路施設であることや、地域ごとに市民に親しまれるデザインを持つことから、下水道施設の「顔」として、下水道そのもののPRや、広報にも活用されてきました。
当会ではマンホールサミットや、マンホールカードのプロジェクト支援を始めとして、全国のイベントや、下水道の認知向上に役立つ広報活動に力を入れてきました。

工業会活動を2つの軸で振り返る

JGMA30年の価値創出