自然災害

Natural disasters

自然災害に対応したグラウンドマンホール

グラウンドマンホールは万が一の災害時に備え、様々な性能や機能が付与されています。また、下水道管路施設で唯一地表に顔を覗かせる特性から、災害時における避難誘導の標示や、災害避難時の「マンホールトイレ」として活用されています。

また、大災害はいつどこで発生するか予測ができません。
昭和50年代は全国の集中豪雨の回数は年間平均174 回でしたが、平成20年代には年間平均238 回となり、約30年間のうちに1.4倍に増加していることが分かります。
近年は大規模地震が頻発化しており、今後も南海トラフ地震等の発生が懸念されています。
このような環境変化による災害の増加に備えて、グラウンドマンホールは市民の安全を守る役割があります。

当会のポスターメッセージ

豪雨災害の危険

豪雨災害などが起こると下水道管路には強い内圧がかかります。その空気圧や水圧によりグラウンドマンホールが飛散する、もしくはグラウンドマンホールの周辺舗装ごと飛散するといった事故事例もあります。

道路冠水の際に足元のマンホール蓋が外れていると、
マンホール内へ転落・吸い込まれる危険があります。

ロック機能がない、マンホール本体とボルトで固定されていないなど、
管路の内圧に対応する機能がないマンホール蓋は周辺舗装ごと「飛散」し、
道路などを「破損」してしまう危険があります。

上記のような事故を防ぐためにも当会は「管路内の圧力を開放する性能」やマンホール内に人が転落することを防止するための「転落防止梯子」の機能を有する蓋の設置を推奨しています。詳細は下水道管路施設としての安全性をご確認ください。

地震災害の危険

マンホール本体とボルトで固定されていないマンホール蓋は、地震動により、マンホール本体とマンホール蓋の開口部がずれるため、緊急点検のための入孔もできず、応急復旧に支障をきたすことがあります。
このような事故を防ぐためにも当会は「マンホール本体とマンホール蓋の結合・一体化」として、受枠変形防止金具と無収縮モルタルによる施工を推奨しています。詳細は施工要領をご確認ください。

出典:(一社)日本グラウンドマンホール工業会
「社会資本整備総合交付金等の活用提案ツール」

災害用マンホールトイレとしての活用

地震災害時等による避難生活で「トイレ問題」は深刻な課題です。マンホールトイレは災害時においても日常使用しているトイレに近い環境を迅速に確保できるというメリットがあります。主要な事例では東日本大震災での宮城県東松島市、熊本地震での熊本県熊本市の避難所に設置され、被災者の方に受け入れていただけました。 マンホールトイレの設置は全国で約42,000基(令和3年度末時点)となっており、今後より一層の普及が想定されています。

東日本大震災(東松島市)

熊本地震(熊本市)

市民イベントや運動会での使用、組み立て訓練に協力

また、災害用マンホールトイレは災害時を想定して備蓄倉庫などに保管されていますが、「もしもの時」に速やかに組み立て、使用できるようにするため、市民マラソンなどのイベントや小学校の運動会などで訓練を兼ねた利用もされています。
当会は平時のイベントにおいてもマンホールトイレ設置への協力や、組み立て訓練などを通じて災害への備えに協力しています。

運動会(熊本市)

マラソン大会(北九州市)

 

道の駅での組み立て訓練(山梨県鳴沢村)

 

NPO法人日本トイレ研究所との協力

NPO法人日本トイレ研究所は災害用トイレ全般の普及に取り組んでいるNPOです。
毎年行われる「災害時トイレ衛生管理講習会」では自治体をはじめ、防災組合や企業、医療機関などの受講者が災害時のトイレ対策について講習を受けられます。
当会では毎年講師として出席し「下水道BCP」や「マンホールトイレ」についての講義を行っております。
(リンク)
・NPO法人日本トイレ研究所Webサイト:https://www.toilet.or.jp/
・日本トイレ研究所主催「災害時トイレ衛生管理講習会」:http://www.toilet.or.jp/studies-forums/saigai_seminar_22th

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